「諦めることも重要です」 With Mii代表・萩原舞が考える“理想の自分”の築き方

With Mii代表の萩原舞さん

アイドル活動引退後に、自身の会社を立ち上げた萩原舞さん。

6歳で芸能界に入り、引退するまでの活動歴は実に15年。

起業の経緯を語っていただいた前編に引き続き、後編では「続けていたことを辞める」際の心構えを中心にお話を聞いてみました。

「まさか本当に起業するとは思っていなかった」と語る萩原さんですが、今日に至る道のりには、萩原さんなりの強い信念がありました。

取材・文:勝田健太郎

萩原舞さんが考える「困難の乗り越え方」

元°C-uteで現在With Mii代表の萩原舞さん

萩原舞(はぎわら まい)
株式会社With Mii(ウィズ ミィー)代表取締役。1996年2月7日生まれ。2002年に「ハロー!プロジェクト・キッズ オーディション」に合格し、芸能界デビュー。アイドルグループ°C-uteのメンバーとして2004年から2017年まで活躍し、芸能界を引退。引退後は留学を経て、2018年にアパレル会社のWith Miiを実の姉と創業。

――現役時代とは全く違う仕事をしているなかで、今はどのようなことで「難しい」と感じていますか?

萩原舞さん
萩原舞さん

私自身でできることも当然あるんですけど、できないこともあって、そこに苦労している部分があります。

 

たとえば、デザインを考えることはできますが、生地から一つの服を作ったり、量産を考えたりといった点で、まだ苦戦している部分はあります。

 

あとは新型コロナウイルスが流行してから、どのように事業を進めていくかで悩んでいた部分はありました。

ーーそんなとき、どのような乗り越え方をしていますか。

萩原舞さん
萩原舞さん

諦めることが重要だなと考えています。

ーー「諦める」ですか。

萩原舞さん
萩原舞さん

努力した分だけ実ることもあるし、努力の結果として夢がかなった人もいますが、本当に難しいことってあるじゃないですか。

ーーたとえば、どういうことでしょう。

萩原舞さん
萩原舞さん

当時メンバーのなかで私一人だけ引退したときって、周りの人の全員が引退をプラスに捉えたわけではないと思うんです。

 

でも私は引退したとき、「『諦める』ことはマイナスではない」という思いがありました。

 

「ちゃんとやめる気持ち」があったから、今までの道も、新しい道のどちらも明るくて、綺麗な道に見えていたんです。

ーーすべての選択を、自分の良い方向に持っていく考えですね。萩原さんの場合だと6歳からの15年間と、かなり長い芸能生活を送られていましたよね。そこから全く別の道を作る難しさはなかったんですか。

萩原舞さん
萩原舞さん

自分で今、会社運営ができているのは、前職があってこそのことだと思っています。

 

私自身を育ててくれたのは家族だけでなく、先輩方や会社でした。

 

そのなかで早くから色々経験できたことも、ありがたく思っています。

ーーなかなかない、本当に貴重な人生ですよね。前職のどのようなことが、今の仕事に活かされていると感じていますか?

萩原舞さん
萩原舞さん

前職での経験すべてですね。

 

たとえば応援してくださっているWith Miiのユーザーさんは、もともと私を応援してくださっている方がメインでもあります。

 

なので本当に前職があって、今があると思っています。

 

あえて今はしないこともあるんですけど、芸能界での経験があるからこそできることもあるなって。

 

ただ、今は「アイドルの萩原舞」じゃないからこそ、できることも逆にあります。

ーーあえてしないことや、その当時と変わったことってなんですか?

萩原舞さん
萩原舞さん

「感謝の届け方」が変わったかなと思っています。

 

今までは、握手会やチェキ会などが感謝を伝える場所でした。

 

でも今は芸能界を引退しているので、「自分」ではなくて「洋服」を通じていろんな人に届けていきたい思いがあります。

 

今はこうして伝えたいことがあるので、「今の私」と「昔の私」で感謝の届け方でも強弱をつけたいなっていう風に考えています。

 

With Mii代表の萩原舞さん

ーー今は完全に経営者としての生き方を歩んでいる感じなんですね。

萩原舞さん
萩原舞さん

そう心がけている……っていう感じです。

ーーちょうど9月で会社を設立されて3年目ですよね。これまでを振り返ってみてどうですか?

萩原舞さん
萩原舞さん

1年目はすごくあっという間で、姉といろいろ試しながらやっていました。

 

登記も誰にも頼まずに、二人でやろうってことになって、イチから全部やって……本当に大変だったんですよ。

 

「よくわからない漢字ばっかりで、全然わからない!」って笑。

 

1年目は本当にあっという間だったと思います。

With Mii代表の萩原舞さん

ーー全部ご自身でやられたんですね!すごい……。1年目のときと今で、気持ちの持ちようは変わりましたか?

萩原舞さん
萩原舞さん

今は「周りの人に恵まれているな」っていうのをすごい感じています。

 

ありがたいことに、オートバックスさんや、ナイトウェアなどを販売する企業さんからもご連絡をいただける機会がありました。

 

様々な方からご連絡いただけて、温かい方が多いことを実感しています。

ーーお話をうかがっていると、理想的な形で事業が進んでいる気がしますね。萩原さんご自身のお人柄もあるのかもしれないですが、うまく進んでいる要因はなんだと思いますか?

萩原舞さん
萩原舞さん

なんですかね……。

 

もともと芸能界を辞めるときに、「姉と何かをしたい」と考えていたので、姉とペアでやっているのは大きいなと思っています。

 

あとは姉だけでなく、周りの方が人を繋いでくれるのも大きいなと思います。

 

ビジネスパートナーのなかでも、初対面でも仲良くなる方たちが多くて、今では一緒にご飯に行くような人たちもいます。

 

もともとお世話になっていた人とも、一緒に仕事させていただいているんですけど、「お金」よりも「人との繋がり」を大事にする人たちが多いのも大きいと思っています。

With Mii代表の萩原舞さん

――とても素敵だと思います。「こうありたい」っていう理想の社長像とかってあるんですか?

萩原舞さん
萩原舞さん

引退したあとに、「人との繋がり」をじっくり考えたんですよ。

 

そのときに、「心と心で繋がるような人たち」が周りにいてほしいっていうポリシーが生まれました。

 

もちろん仕事となると、やらなきゃいけないことはあるものの、ブレたくない思いもあるじゃないですか。

 

たとえば、「この人は壁があって喋っているな」とか「裏で色々なことを考えて喋っているな」とかはわかるので、今後も温かい方達と仕事をしたいと思っています。

 

だからこそWith Miiでは、繋がっている企業さんと一緒に、お互いが得意としている部分を一つにして、一緒に大きくなっていきたいっていうのが気持ちがあります。

――本当に温い、愛のあるポリシーだと思います。

萩原舞さん
萩原舞さん

応援してくださっているユーザーの方たちは大事にしていきたいですし、人に対する愛情は無くしたくないなと思っています。

 

でも仕事となると、難しいこともあるじゃないですか。

 

なんで間違っているかわからないけど、続ける必要があることもありますし。

 

でもそういうとき、本当に間違っていると思うことはやらないと決めています。

――間違っていると感じることを、やり続けるのも難しいですしね……。

萩原舞さん
萩原舞さん

はい。これは自分の子どもにも言いたいし、心がけてもらいたいことです。

 

私の父も頭ごなしに「ダメだ」というタイプではなくて、「なんでダメなのか」の理由を説明してくれるんですよ。

 

そういう部分がないと、周りとの信頼関係も築けないと思っていて、姉ともこの部分は大事にしています。

――芯があると、何事にもブレなさそうですよね。

萩原舞さん
萩原舞さん

愛のある方と一緒にお仕事をしている分、自分のポリシーは大切にしたいと思っています。

 

一回大事にしていたことを崩すと、なんでもありになっていくじゃないですか。

 

With Miiがどんどん上に上がっていったとしても、「愛のある人と仕事をしたい」と考えていると思います。

「第二の道」に進むときに大切にしていることは?

――今やっていることを辞めたいと思っても、「本当に辞めていいのかな」と臆病になる人も多い気がします。そんななか、一歩踏み出そうとする人たちに、先輩としてどういう声をかけてあげたいですか?

萩原舞さん
萩原舞さん

いえ、全然先輩じゃないです……。

 

でもちょっと不満を抱いた時点で、何か行動し続けるのって難しいしと思っています。

 

たとえば周りが一生懸命やっているのに、自分だけやる気やモチベーションがないと、結局周りに迷惑をかけてしまっている気がします。

 

そうなったときは、身を引くことが大事だなって思います。

――たしかにやりたくないことをズルズル続けていても、周りに悪影響ですよね。

萩原舞さん
萩原舞さん

はい。ただ、辞めることは簡単なんですけど、辞め方も大事だと思っています。

 

たとえば、「朝起きるのが辛いから辞める」とかは違うのかなって。

 

それも一つの人生だけど、人には迷惑はかけちゃいけないですよね。

――そうですよね。

萩原舞さん
萩原舞さん

なので辞めるとなると、「ちゃんと辞めて」次に行くのが大事だなって感じます。

 

私の場合は、さいたまスーパーアリーナまで行かせていただき、それが一つの『達成』としてけじめをつけられたと思っております。

――さいたまスーパーアリーナでも、一番に感謝の念を伝えていましたよね。とても印象的でした。

萩原舞さん
萩原舞さん

やっぱり何かを辞めるときって、だらけている風に見られてしまうかもしれないんです。

 

そんななかで新しいことがやりたいと思ったら、頑張ってけじめをつけて、次に進む方が良いです。

――本当にやりたいことがあるなら、ちゃんとやるべきことをやってから、新しい道に進むっていうことですね。

萩原舞さん
萩原舞さん

はい。でももしかしたら、今いる場所が本当はシンプルに向いていない場所の可能性もあるじゃないですか。

 

向いていないって思ったら、そこのジャンルは一回忘れた方がいいと思うんです。

――ちゃんと新しい道に進まれた萩原さんがいうと説得力あります。

萩原舞さん
萩原舞さん

いえ、全然……。

 

でもだからこそ、したいことが見つかったときには絶対にやってほしいって思います。

 

好きなものをやったほうが、それまでと興味の沸き方とかもぜんぜん違うと思いますし。

――本当にそうですよね。萩原さんの言葉に自分もかなり奮い立たせられました。今日は本当にありがとうございました。

「やりたいと思ったらとことんやる 頑張ってもむずかしかったら2つ目の道へ」

引退、留学を経て、萩原さんは自分の「好き」の思いを実現するために起業。

一歩踏み出して、夢への道へと進んだ萩原さんに、「今一歩踏み出せない人にメッセージを届けるなら、どんな言葉を送りますか?」という問いかけをしたところ、こんな言葉をいただきました。

With Mii代表の萩原舞さん

With Mii代表の萩原舞さん

「やりたいと思ったらとことんやる 頑張ってもむずかしかったら2つ目の道へ」

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